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懐古

最近過去の整理をいろいろしている。
家を建てたときに段ボールに荷物を詰め込んだはいいが、いまだにその段ボールが存在しているのだ。
もう10年以上たつわけだから理屈の上ではその荷物は必要ないということになる。
しかし捨てようと中を見るとなかなか捨てられないものが入っているので始末が悪い。
昔の写真とか、音楽のカセットテープだとかいわゆる「思い出」につながるものだ。
 
音楽に関して言えば昔のレコードとかカセットだとかそんなものが山ほど存在している。
普通のLPレコードでアルバムとなっているものであればツタヤに行ってすぐに借りてこられるものがある。
これは借りてきてPCに取り込んでしまえば良いので大きな問題とはならないが、当時FMラジオで放送されたライブとか、レアなアーティストの曲とかそんなものが入ったカセットは捨てられない。
 
そんな音源をPCに取り込んで更にそれをスマホに移して聴く、というのが趣味となった。
今日も1975年のジェネシスのライブを聴きながら会社に行ったりしている。
1975年と言えばほうく自身がまだ9歳の頃だ。
 
そんな時代の音楽をわざわざ50歳になったおじさんが改めて聴いているのである。
今この瞬間にジェネシスの1975年のライブを聴いている奴なんて他にはいない気がするし多分そうだ。
 
取り込むのだってそれなりに時間がかかる。
アナログ音源だから基本的に全部再生しながら取り込むからだ。
高校生くらいに買ったカセットのダブルデッキからPC取込用の機械を通してPCに取り込む。
なので普通に考えれば再生しておけば自動的に済みそうな気がするが取込最中にPCが突然ネットでのバックアップ作業に入ったりすると音の取り込みが一瞬止められたりするのだ。
まさにマイクで録音している時にお母さんの声が入るあの瞬間に似ている。
 
音量のレベルだって手動調整なので微妙だ。
能天気なジャカジャカ音楽なら最初に設定すれば問題ないが、ジェネシスとかピンクフロイドとかプログレ系の演奏重視のバンド、特に音の強弱とかに神経使うようなバンドは一番盛り上がってレベルが上がるところを探し当てないと音がでかすぎてしまったりする。
 
そんな苦労をしながらわざわざ聴いているのはなぜなのか。
やはり懐古趣味なのだろうか。
苦労して取り込んだ音楽がタダだからだろうか。
 
今の時代はすっかり便利になっているので音楽はネットで買える。
もはや「CD」という媒体さえAKBグループ以外はあまり意味のないものになっているようだ。
スマホで定額制の音楽を聴くというスタイルはどうにも50歳のおじさんには馴染めないのだ。
 
高校生くらいの頃なんて欲しいレコードがあってもネットなんかないのでまず大きなレコード店に行くしかなかった。
秋葉原の石丸電気は良く通ったものだ。
それでも求めるレコードがマイナーになってくると逆の現象も起きてくる。
「このアーティストの日本版のレコードが欲しい。」
とかなってくるとメジャーなレコード店では逆に既に置いていない。
電車で帰る途中の駅で降りてレコード屋のありそうなショッピングビルに入る、という涙ぐましい努力もしていた。
実際それで手に入れたレコードもある。
 
つまり実際に手に入れたという思い出と密接に結びついているのだ。
あの30cm四方のLPレコードを手に取ってジャケットデザインを確認した瞬間の記憶が(覚えているかどうかはともかく)刻み込まれているような気がするのだ。
それはFMラジオを録音したカセットも同じである。
 
ということで今の流行とは全く一線を画した音楽を聴く毎日である。
風呂場に
「ドーモアリガート、ミスターロボット、ドーモ!」
なんて鳴り響く毎日なのだ。
 
それでいいのか??

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コメント

下校途中にレコードを買って大切に抱きかかえて帰って聴き、いろいろこだわったカセットを作り、後年CDで買い直し。。。 私たち世代が、音楽を「形」あるものとして「愛着」を持って「所有」した最もコアな世代でしょうね。ダウンロードにはそのいずれもないですから。
手間をかける楽しみ、でしょうか。ここぞという時におろすクロームテープにテンション上がる感覚も、今は懐かしいですね。

○アコギ太郎さん
LPをひっくり返すなんて作業、ダウンロードではないですよねぇ。最近レコードが逆に見直されて人気出てきているみたいですけど、時代は繰り返すってことでしょうか。

岩井が必死になってレコードを万引きしてたあの苦労も今の若者には理解不能だろうなあ。

○エセさん
でかいレコードを大したもんですなぁ。岩井さんが偲ばれます。

先日はどおも。お渡したものは、みんながミュージシャンということでQueenの「Killer Queen」の冒頭の洒落だったんですが、細かすぎて伝わらなかったかな?曲の冒頭といえば、以前ほうくさんから借りた「Paradise theater」を聴いて、私が「今夜歴史を作るって、どんな歴史だろうねえ?」とイタイケな質問をしたら、ほうくさんが吐き捨てるように「子供でも作るんじゃねえの?」と答えたのが印象的でした。いい思い出です。

アンデイヘッドランドさん
先日は超久しぶりお会いできて楽しかったです。
また、手土産まで頂いちゃいましてありがとうございました。Killer Queenは私にとってMoetよりも「頑張れ田淵」のイメージが強すぎて細かいネタに気付きませんでした...(;´Д`)

○アンデイヘッドランドさん
相変わらず本人が忘れているような事実をありがとうございます。なんだか黒歴史を暴かれているような戦慄を覚えます。
ちなみに私はミュージシャンじゃないですけどね。

○千葉県民さん
先日はアンデイヘッドランドさんとの歴史的再会、良かったですね。
千葉県民さんとの部活が黒歴史じゃなくて良かったです。

△千葉県民さん
空耳ですね。
「Life in the first lane」の「高校生」とか、「Dr. Lone」の「お蕎麦」とか。
(´∀`*)

あ、「Dr. Love」(Kiss)でした。

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