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喫茶店のおやじ

昔、テレビドラマで「優しい時間」というのをやっていた。
北海道の富良野で寺尾聡扮するマスターが喫茶店をやっている、という設定のドラマだ。
北海道の大自然の中でマスターの淹れるコーヒーを飲みながらゆっくりとした癒しの時間が流れる。
一見、そんな平和な雰囲気なのだが、来店するお客さんにはそれぞれの事情や悩みなんかがあって人間ドラマが展開されるのだ。
 
このドラマを見ているとこんなマスターみたいな生活もいいなぁ、なんてことを感じた人も多かったんじゃないかな。
喫茶店の雰囲気もいいし、窓から見える景色も一度行ってみたい、人によってはこんなところで暮らしてみたいと思わせるものだった。
 
そんなドラマもネットで調べるともう10年前の放送だったようだ。
40歳目前の頃にそのドラマを見ていたのかと感慨にふける50歳目前のこの時期に、なんと友人が喫茶店を始めてしまった。
本人は「カフェ」であると言い張っているので何が違うのか調べてみたら、ネットによるとアルコールを出すのがカフェで出さないのが喫茶店らしい。今のところ喫茶店のような気もするが・・・、まあいい。
 
先日、たまたま近くまで外出する機会があったのでお店を覗いてみることにした。
聞いていた場所はたまに通る商店街だったのだが、ちょっと寂れかけていたのを記憶していたので多少心配しながら偵察に行ったということもある。
 
商店街の通りの中ではあるが空き店舗も多く、駅から遠いほうに歩いていくのでお客さん的にはどうなんだろうと思いながら行くと、こじんまりとはしているがちょっときれいな新しい雰囲気のお店が現れた。
訪問前にネットで紹介されていた記事を見ていたので心の準備はできていたが、中を覗くとサラリーマン時代からは想像もできないエプロンをしてにこやかにお客と会話している友人を見つけた。
 
「よっ!」
なんて感じでお店に入ると少し驚いた顔をしたそいつ、仮にパウリーニョとしておこう、パウリーニョはすぐに嬉しそうな笑顔を見せてくれた。
今までの人生で様々な環境、集団に属したことがあったが、パウリーニョとは前の会社の同期入社、という関係である。
 
途中でほうくはドロップアウトしてしまったが早々に結婚して幸せな家族に囲まれたパウリーニョが会社を辞めるということは想像できなかった。
実際、辞めた理由が「家族と離れて単身赴任は無理だから」という実に素晴らしいものであったのもうなづける。
 
そんなパウリーニョ、急な退職で最初は介護関係の仕事をすると言って、実際やっていたようだが、気が付けば喫茶店のおやじである。
鋭い眼光でタバコを吸っていたちょっと昔の二枚目風のパウリーニョ。
それが今では店にやってくる地域のおじいさん、おばあさんと話をするのがこの上もなく楽しいということなのだ。
 
そしておよそ何か料理をするなんて想像もさせなかったパウリーニョの作るケーキを食べ、コーヒーを飲み、懐かしい話に花を咲かせた。
二人で、しかも一応店主とお客、という立場で話をしたのだがものすごく話しやすい。
歳を重ね、家族を愛する生活の中ですっかり丸くなってしまったからなのか、聞き役として抜群なのだ。
これはおじいさん、おばあさんに人気が出るはずだ。
 
そんなことを思ううちに今日来るのが二回目と言うベテランおじいさんがやってきた。
この人のためにパウリーニョを解放してあげよう。
そう思ってほうくは店を後にした。
 
人間、どう生きるかは自分で決めていくのだ。
よし、今夜はWii Uでゲームをするぞ!
何の成長もないほうくなのであった。

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コメント

私が数年前まで滞在していた都市にも日本人単身赴任者が多く、家族を恋しがる声をずいぶん聞きました。パウリーニョさんはすごいと思います。

フレンチトーストや食べかけバナナケーキ、おいしそうでしたw

○peaさん
たまにしか更新しないのにチェックしていただいてありがとうございます。
彼の今の仕事を見ていると、何が大切なのかは自分で決めるものなんだということを改めて感じます。
ケーキおいしいんですよ、千葉県なんですけどね。

ブログに書いてくれて有り難う🎵
大切な人と好きな仕事が出来て、幸せな毎日です😄週末楽しみにしてます。

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