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マラソン大会

次男のテリーほうくの小学校でマラソン大会があったそうだ。
普通ならその何週間も前から週末には(あるいは毎朝)、お父さんと一緒に練習して備える子供たちが多いそうだ。
 
いつもの通りそんなことをするような親子ではなく、直前の日曜日にもがーがー昼寝していたくらいなので結果は41位だったそうだ。
同学年の男子70~80人くらいなので真ん中あるいはそのちょっと下の順位に沈んだことになる。
 
練習しないで良い成績があげられるわけがないといういい教訓になっただろう。
ま、親として何もしていないほうくにも非難が集中しているが・・・。
 
ほうく自身がマラソン大会を走ったという記憶はある。
今から四半世紀以上前の大学生時代の校内マラソン大会である。
大学生なのになぜマラソン大会なんて参加しているのかというと、運動部は参加義務だったからなのだ。
 
ところが1年の時はラッキー、いや残念なことにマラソン大会直前の体育の時間のサッカーで後ろから悪質なファウルを受け足首をひどく捻挫してしまったため走らず見学だった。
寒い時期にわざわざ電車で多摩川沿いまで移動してそこで毎年大会が開かれていたのだ。
参加者が大勢いるためスタート時間がいくつかに分けられていたので正確な順位は良く分からないが、ゴールに到着した最初の選手は驚異的な早いタイムで、しかも同じ高校出身のサッカー部の奴だった。
 
それから1年後・・・。
ほうくは何と、アーチェリー部で長距離(中距離?)が一番速い部員となっていた。
トレーニングで必ず週に何回かちょっとした距離、例えば大学の周囲1周(3キロくらい??)を走るのだが、順位がほとんど1位で、しかもタイムもがんがん縮めていたのだ。
誤解しないように言っておくがほうくは決して長距離走が好きなわけではない。
それどころか一刻も早く終わってしまいたいから速く走っていただけなのだ。
ただ、結果として速く走れば走るほど心肺機能も足腰も鍛えられてどんどん速くなるという好循環だったのである。
ゴールに早く着いてしまえば最下位の人間が来るまでゆっくり休んでいられるし。
それこそがほぼ唯一の理由だったのだ。
 
ところがそうやってクラブ内で長距離走一位の地位を築いてしまうと困ったことが起きてしまった。
マラソン大会に必要以上の期待をかけられることになったのだ。
マラソン大会の距離は確か14キロ余りだったと思うが、そんな距離は未知の世界だった。
しかも別に長距離走るのが好きなわけでもないし・・。
 
大会直前には一応、今まで1周だった大学の周囲のランニングも4周にしたりしてクラブ全体として雰囲気を盛り上げていくのだが、やはり空気は重くなっていく。
まあそれでもそれなりの練習を積んで大会当日になった。
 
大体今まで3キロくらいの距離だったので走り方は先行逃げ切りだ。
いきなり飛び出して頑張って走り、最後の直線で力を振り絞ってスパートしてゴールして休む、という走り方をしていたので14キロの走り方が分からない。
 
とりあえず部員の中のトップで飛び出したのはいいが、川沿いの土手を片道7キロの往復で走るコースだ。
景色も面白くもなんともないし、どの辺なのかもさっぱりだ。
折り返し点にはアーチェリー部の後輩の女子が3人くらい、折り返し点に来た証拠としてランナーの手にマジックで印をつける役割で立っていた。
そこに部員トップでかっこよく到達し、口々に
「頑張ってくださいね!
とか言われて嬉しい思いをしたのが唯一の良かった点だ。
 
折り返し点を過ぎてしばらくすると、驚くことに足の裏がしびれてきた。
最初は片方の足の裏だったが、しばらくすると反対側の足の裏もしびれてきた。
これはびっくりだ。
呼吸もそれなりにきつかったが、この両足のしびれは確実に推進力を奪っていく。
すると後ろから、足を地面につくたびに「べったんべったん」というとても耳につく音が迫ってきた。
クラブの同期の、通称「べた足のヒロシ」が追い付いてきたのだ。
 
「どうしたんだ。」
と聞かれたので、既にどんよりして顔に影のかかったちびまる子ちゃん状態のほうくは
「いや、足が・・・。」
と答えるのが精一杯だった。
「ついてこい。」
頼もしい言葉を残し「べた足のヒロシ」は追い抜いていった。
 
それにしても川沿いのコースは精神的にきつい。
スタート地点が橋のそばだったので、走りながら見えてくる橋を目標にするのだが、もうすぐだと思うとスタート地点とは違う橋なのだ。
今度こそゴールの橋だ、もういい加減次の橋は、の繰り返しで精神は蝕まれていく。
ようやくゴール地点にたどり着いた時はもう真っ白になった明日のジョーだった。
 
その後、マラソン大会を走った記憶はない。
不思議なことに大学時代それほどトレーニングを頑張っていなかった人に限って今は走ることを趣味にしていたりする。
きっと飲み屋とかで言ってるんだろうな。
 
「人生はお前、マラソンだよ。」
なんてね。

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