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子供の頃、家にちょっとした細い本棚みたいなものがあった。
本とかも入っているのだが一番下に引き出しが左右に2つあって、そこに父親の小物が入っていた。

手帳とか名刺入れとかノートとか万年筆とか電池とか、なんかそこに入っているものが妙に大人の匂いを放っているような気がしてその引き出しをあさるのが結構好きだった。

ある日、髭剃りとかの隙間に不思議なものを発見した。
何かの道具のようなものだった。
形はちょっと丸みを帯びてちょっと薄くしたタマゴみたいな形で、そのタマゴの上部分がぱかっと外れて蓋みたいなのが取れるようになっていた。
中には丸い細い金属の筒みたいなのがあって、タマゴの下のほうの小さいボタンを押すとそれが回転するようになっていた。
それは小指よりも細いくらいの大きさだった。
良く見ると筒の先がちょっとギザギザになっているようだ。

この不思議な道具は一体何だろうと思ったがさっぱり分からなかった。
電池式でボタンを押すとこの細い筒が回転するだけだ。

ものすごく気になったのでそれを引き出しにしまい、しばらくたってから母親に尋ねた。
「ああ、それお父さんの鼻毛カッターよ。」

衝撃的な一言で人生で初めてこの世の中に「鼻毛カッター」なるものが存在することを知ったのだった。
一体大人の体って、いや、大人の鼻毛ってどうなってるんだ・・・。

その衝撃から何十年たっただろう・・・。

鼻毛カッター・・・。
欲しい・・・。

今や日々驚くべき成長を見せる鼻毛。
油断するとすぐに鼻から飛び出す鼻毛。
鼻毛との悪戦苦闘の日々を迎えることになろうとは幼かったほうくは想像すらできなかった。

・・・・・・・・・・・・。

大学時代に部室に入ってきた女性の先輩の言葉が今も心に残っている。

「電車の中ですごいおじいさんがいて、耳から耳毛がたれてたの!!」
「伸びてるだけじゃなくて束になって垂れてたんだよ!!」

なるほど、歳を取るとそんな状況になるんだなとまだまだ若さはじける大学生だったほうくは大笑いするとともに妙に感心したのだった。

あれから20数年。
まるできみまろのようだが、耳自体に毛が生えるようになって困っている。
耳毛の定義が耳の穴内部の毛、であるとしたら耳の穴内部以外の耳に生える毛はなんと言えばいいのだろう。
もちろん密集して生えるわけではなく、ひょろっと何本か短い毛が生えるのだ。
おっさんからは世にも奇妙な毛が生えることになっているのか??

そう言えば先日、格安美容院に髪の毛を切りに行った。
いつも行く美容院でいつも切ってもらっているお姉さんが妊娠して産休に入ってしまったのだ。
もちろんほうくの子ではない。(わざわざ言う必要もないほど当然だが・・・。)

そこでたまには別のところに行ってみることにしたのだ。
美容院ってどうしてこうも女性的な男性が多いのか不思議だが、なんか雰囲気がIKKOさんに似ているちょっとごつめの男性に切ってもらった。
シャンプーも済ませ最後の確認、という段階でこのIKKOさんは頭に残った髪の毛を払ってくれた。
それでも残っている毛を見つけたようで、ほうくの耳を2,3度払ってからさらに指でつまもうとした。

もうお気づきかも知れないがこの毛は切られた毛が耳についたのではなく、もともとそこに生えていた毛だったのだ!
IKKOさんは途中で気がついたらしくそれ以上その毛を取ろうとするのをやめた・・・。

謎の毛と共にこれからの人生を生きていく。

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コメント

手に取るように分かってしまう、この悲しさ
鼻毛カッターは私も持ってます。スモーカーなんで定期的にやってますよ。
抜くと痛いし。ハサミはどっか切りそうで怖いし

耳毛はこれから増える一方ですよ。
私は抜いてます。

○Tommyさん
分かってもらえましたか!
耳毛、増えますか・・・。
今はひげそりのついでに主なものは剃ってます。
ま、何をもって「主なもの」なのか分かりませんが・・・。

お互い、頑張りましょう!

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