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電車は走る

むかーしむかし、ほうくがまだ小学生だった頃。
ほうくの母親の教育ママ連合約3名が子供たちを同じ受験対策の塾に通わせることにした。
そこは本当に少人数で、ほうくたち3人ともう1人どこからかの生徒の4人で、先生は司法試験を目指している東大出身の人だった。(それなりにおっさん)

この塾はかなりレベルが高く、なんか知らんがついていくのも結構大変な感じの内容だったのだが、ここでもほうくは国語に関してだけはなんとか他の生徒には負けない感じだった。(国語だけです。残念。)
ちなみにその中の1人が受験でほうくの母校に入学し、ほうくもそれから2年遅れで同じ学校に入ることになった。

そんなある日、多分夏休み前だったと思うが、なぜか先生がみんなに一冊の本を渡してくれた。
全員に同じ本だったのか、みんな違うばらばらの本だったのかは覚えていないがその本をほうくは読むことになったのだった。

題名はもう覚えていないが、ものすごく印象的な本だった。

主人公は小学校高学年か中学生くらいかそんな感じの男の子だったと思う。
普通に平凡に暮らしていた4人家族だったが、急に病気で母親が死んでしまうのだ。

家族にとっては一大事だ。
もちろん主人公にとっても母親が死んでいなくなってしまうなんて想像をはるかに超える非常事態なのだが、そこで一つの事実に向き合うのだ。

どんなにそこの家族にとって大変な事態で、しかもかけがえのない母親を失ってしまうような天地がひっくり返るようなことであったとしても、朝になれば太陽は普通に昇り、いつものように電車は時間通りに走っているのだ。
そんな事実を父親が主人公に教えてくれて母親の死を受け入れる、とかそんな感じだったのかも知れない。(曖昧)

小学生でこの本を読んだほうくにとっては結構衝撃的だった。
まずは母親の死という重い事実である。
生まれてからずっと父親と母親は常に自分のそばにおり、それがいなくなるということ自体が想像の外側だったこと。
それからもう一つは、自分自身にとって容認できないほどの一大事であっても、他の人にとっては何の関係もない、認識すらしないで済むほどの世の中で普通に起きることの一つでしかないという事実である。

そして更に何年かたって成長する中でまたまた別の本に出会った。
それはもっと直接的な、小説というよりは生き方について書いているような本だったような気がする。(これもまた曖昧。)

自分の子をなくして悲嘆に暮れ、ずっと泣き続けている母親に対して、なんか偉そうな人がずばっと核心を突くような言葉を浴びせるのだ。

「あなたが泣いているのは亡くなった子供のためではない。最初はそうだったかも知れないが、あなたは子供がいることによって自分が感じていた幸せや喜びを失ったことについて泣いているのだ。あなたは今自分自身のために泣いているのであって、子供のためにではない。」

確かそんな感じのセリフだった。(曖昧すぎてごめんなさい。)

この2冊の本を読んでいたためなのか、せいなのか、おかげなのか、ほうくの父親が亡くなったとき、大変悲しいことではあったけれど、この2冊の本(ものすごく一部分ではあるが)を思い出して何とか受け入れることができたような気がする。
自分の父親がこの世からいなくなるなんてことは何十年も想像すらしなかったことだから、当然すぐに受け入れられることではない。

でもたぶん、病院で手続きをしたり、葬儀屋と打合せをしたり、通夜や葬式をしたり、久しぶりに集まってくれた友人たちに暖かい言葉をかけてもらったり、そんなことをする過程で知らず知らずのうちに受け入れていったのだと思う。
そしてそれは多分、亡くなった故人もそういうセレモニーの過程で
「あっ、やっぱり自分は死んだのか。」
ということを感じるのではないかとすら思うのだ。

こんなことを書いているのは、最近高校の同窓生が亡くなったということを聞いたからだ。
ほうく自身はそれほど親しかったわけでもなく、同じクラスになったこともない。
でもやはり顔を知っている同窓生が亡くなるというのは衝撃だし、そして残されたご家族のことを考えると胸が痛む。

彼のご冥福を心から祈る。
そしてご家族は、きっとこの事実を受け止めてこれからの人生をしっかりと歩んでもらいたいなと願うのだ。
だって亡くなっても故人の思いを身近に感じる瞬間はこれからもきっとあるのだから。

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