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階級特進

転校生人生のほうくだが、過去にも何度か書いたがクラスの中には知らず知らず各自のポジションができていく。
例えば何となくだが一番目立っていて、何となくクラスのリーダー的な(実際リーダー的な行為をするかどうかは別として)人。
それからその周りの人たち。

一番勉強のできる人。
そしてその後続の人たち。

一番運動のできる人。
そしてその後続の人たち。

面白い人。
楽しい人。
手品のうまい人。

まあそれはキャラクターとかなり連動する部分でもあったりする。

よくテレビで、
「転校した初日にいきなりクラスをしめている奴をなぐって、自分が一番になった。」
なんて話を聞いたりする。
得意げに。
これなんかほとんどサル社会のボスザル争いのようでそれはそれで興味深い。
その社会の秩序が一気に組み替えられるということでは劇的な変化かも知れない。
ある程度出来上がったクラスに転校してきた子がいきなり認知されるためには方法論としては有効なのだろう。

しかし、常に全人類の平和を心のそこから願っているような平和主義者のほうくにはなじまないな。
ただ、この話、大人になってから変に納得するようになった。

むかーし昔。
今から30年くらい昔。

ほうくはある中学に入学した。
そこは小学校から続いている中学で、中学から受験で入った生徒もそこそこいたがクラスの半分から3分の2近くが小学校から上がってきた生徒たちだった。
ほうくのクラスには「ダイスケ」というとても活発な生徒がいた。
いつも元気で運動なんかも率先してやって、そう、「とても目立って」いた。

ある時、各クラス対抗のドッジボール大会が開かれることになり、ほうくのクラスもその練習をやったりしていた。
丸いエリアを作って、その周りの人は中の人を当てる練習、中の人は捕球、または逃げる練習をする、という具合だ。
当然「ダイスケ」は張り切っていた。

そんなあるとき、ほうくが外側で「ダイスケ」が中だった時、流れでほうくがボールをもらい真ん中にいたダイスケを狙って投げた。
ダイスケは飛び上がってよけようとしたのだが、足にボールが当たってしまった。
それから攻守交替になって、今度はほうくが内側になった。
外から投げてきたボールを捕球すると、外側のダイスケが
「こっちによこせ。こっちこっち。当てないから。」
と言ってきた。
言葉通りにパスしてやると、ダイスケは目の色を変えて本気モードでほうくに当ててきたのだった・・・。しかも至近距離・・・。

う、うそつき・・・。

その後、なんかの時に小学校から上がってきたクラスメートと話をしていたら、
「でもほうくはダイスケにぶつけることができたじゃないか・・。」
的なことを言われた。
中学1年のほうく、その時は何を言われたか意味が分からなかったのだが、後になって考えると意味が分かった。

「ダイスケ」は小学校からほぼクラスの、場合によっては学年一のリーダー、運動一番的なポジションだったのだ。
そんな奴に当てることができたほうくは知らない間にリスペクトされていたのである。

だからあんなに目の色変えてぶつけてきたのか・・・。
たかがドッジボールでプライドを傷つけられたダイスケは、少なくともぶつけ返してやらないと気がすまなかったんだろう・・・。

つまりこれは「いきなりクラスをしめている奴をなぐる」的な効果があったようなのだ。
こんなに心穏やかに日々花の咲くことだけを楽しみに生きているようなほうくなので、もちろんただただ驚くばかりだが、そんなに簡単なことで人を見る眼は変わるのだということも実感した。

それからというもの、今までさまざまな社会に参加してきたが、その中のいろいろなポジションなんかについて観察するのが結構楽しい。

意外にそんなものは思っているほど確固たるものでもなかったりするしね。

明日もいい一日であればと今日も一日を反省しながら穏やかに願うほうくなのだった。

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コメント

こんばんは。

おもしろく読ませていただきました。
人間社会も、猿の社会も、基本的には同じだと思います。それが群れの掟ですから・・・。
掟に従わなければ出ていくしかありません・・・。自然界では、それもありですが・・・人間社会は複雑ですね~(笑い)。

腹筋の体操をさせていただきました。素晴らしいお人柄、尊敬いたします!
同じく転校人生だったあたくしはかなりの武闘派でございました。
しかし高校から入ったのは幼稚園から女子しか知らないという人の多いまったくのワンダーランド。これは太刀打ちできませんでした。。。

○nakamuraさん
ありがとうございます。
そうですねぇ。人間社会もいろいろと大変で、そんなことを考えると動物園でもサル山から離れられなくなっちゃうんですよね。

○peaさん
なんと!
そんな純粋培養の女の園にいたんですか!
そのワンダーランド楽しそうですね!
そういう感じの人にお会いしてみたかった・・・。
もちろん、世界平和も欠かさずに祈ってますけどね!

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