電車の中その4
満員電車というのはある意味壮絶な光景である。
見ず知らずの人と体を密着させて何も言わずにいくつもの駅をご一緒するのだ。
ものすごい息の臭いおじさんと15センチの距離に顔があると、このまま失神してしまうのではないかというくらい気が遠くなったりする。
一方で、そんな距離で若い女性と密着する機会も他にはない。
しかし、痴漢行為を働こうとするなら別だが、めちゃめちゃ気を使ってこれはこれで疲れる。
両手を誰からも見える位置にセットし、できればカバンなんかも網棚の上にのっけてしまいたい。
カバンが触れたって一度「痴漢!」なんて言われたら恐ろしい事態が待っているのだ。
しかも息の臭いおじさん同様に、つけ過ぎの香水に気分が悪くなることだってある。
異臭騒ぎは日常に潜んでいるのだ。
もちろんおならなど許される行為ではない。
本当に涙が止まらなくなったことさえあるのだ。
しかし自分がするときは細心の注意で・・・。
網棚にカバンを上げたときに注意するのは、自分自身が漂流してしまってカバンには一生手の届かない距離に流されてしまわないようにしなければならない。
吊革の取り合いだって大変だ。
ちょっと荷物を取っていてあけた隙に今までつかんでいた吊革を取られていたりする。
「いや、これ私のですけど。」
とは言えない感じだし・・・。
しかも掴まっている吊革のベルトの部分をいきなりつかんでくる奴がいたりする。
これはこれでかなりやっかいだ。
自分と電車の動きの間にこのつかんでいる奴の動きが入ってきてバランスが難しい。
しかしそれで平然と何駅もつかんでいる奴がいたりするから面倒である。
「いや、だからこれ私のですって。」
とも言いづらいしなぁ。
何もつかんでいない状態のドアから入った場所では、周りに身を任せるしかないがここで大変な事態が起きたりする。
自分の真下は通常自分の足の置き場のはずなのだが、なぜかここが他の人の足に占領されていて置けなくなったりする場合がひと揺れしたときに起きたりする。
これは大変だ。
バランスを崩しそうになりながら、まずつま先をどっかの隙間に上からもぐりこませる。
そして揺れるタイミングでちょっとずつ、時には繊細に、時には大胆に足の場所を確保していく。
一体、何やってんだか・・・。
そんな電車の中なのだ。
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